ホーム  >  相続不動産・不動産FPブログ  >  相続した不動産を売却するときの登記名義人について

相続した不動産を売却するときの登記名義人について
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2020/04/15 00:00

先日、大阪市内の不動産を相続した方から売却相談を受けました。相続人は長男と二男のお二人です。相続税につきましては、4,200万円の基礎控除額以下なので、課税されません。

相続された不動産は元々の実家です。被相続人が亡くなられた当時には、お二人とも同居はしておられませんでした。実家を建築と購入された年は昭和40年代です。

相続税は発生しませんが、譲渡所得税が約200万円程かかりそうです。

1つ目の相談は、『誰を登記名義人にしたらよいのか?』でした。名義人について解説したいと思います。

まず、譲渡益が出る場合に登記名義人になってはいけない人の例を2パターンご紹介します。

①国民健康保険に加入している方

国民健康保険の加入者の場合、サラリーマンの方のように給料が保険料の算定の基準にはなりません。個々人の収入を基にした所得をベースに保険料を算定することになります。

不動産の譲渡所得は「分離課税」の対象になりますが、国民健康保険は税金とは異なる仕組みですので、分離も関係ありません。

事業所得や雑所得、配当所得だけでなく、不動産の譲渡所得も合算して算定されることになるので、不動産の譲渡で利益が出ていれば、保険料が上がる仕組みになっています。

サラリーマンなどが加入する医療保険では、不動産の売却益が保険料に影響することはないので、売却した加入者本人の保険料が上がることはありません。

不動産を売却して譲渡益が発生する場合、自営業の方と、サラリーマンの方を共有名義にすると、手取りに差が生じる可能性があります。

健康保険の被保険者に扶養されている被扶養者の方

例えば被保険者である旦那さんに扶養されている奥さんなど、被保険者の被扶養者となる人が不動産を売却して譲渡益が出た場合は、扶養から外れてしまうことがあります。

扶養から外れると国民健康保険に加入しなければならず、保険料を納める可能性が出てきますので、保険者に取扱を確認して名義人になるかを判断する必要があります。

 

また、名義人のなかに、平日お休みが取れない方や遠方にお住まいの方がいらっしゃると、契約と引渡し日を決める際、スムーズな調整が取れない場合がありますので、敢えて名義人にしないことも考慮してもよいと思います。

 

相続人のうちの単独の名義にして相続登記をしてから換価して分割する方法があります。「換価分割」という分割方法です。

不動産を売却して得た代金を、後に他の共同相続人に配分することになるので、これは贈与に該当して、贈与税が課税されるのではないかといった疑問が生じます。この場合、国税庁の見解は、便宜上、単独の相続登記が換価のための単なる手段であり、実際に遺産分割協議の内容に従って実際に分配されたなら贈与税は発生しないとしています。

譲渡益が出る場合に単独で名義人になるべき例1つご紹介します。

❶相続人の中に同居していた家族がいた場合

同居していた方は「居住用不動産の譲渡にかかる3,000万円の特別控除」を使えば、売却益から3,000万円を控除することができるので、居住用の物件を売却する場合譲渡所得税がかからないか、税額を大きく減らすことができます。

相続人で共有名義にしてから売却するのではなく、同居していた方を単独で名義人になるべきです。

 

最後に譲渡益が出る場合に共有名義にするべき場合を一つご紹介します。

❶「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を使うケースで、3,000万円以上の譲渡益が出る場合

単独の方の名義にしてしまうと、譲渡益から3,000万円までしか控除することができません。そこで、2人の共有名義にすると、最大6,000万円まで売却益から控除することができます。この場合、多少面倒でも共有名義にすることによって手取りを増やすことができます

ページの上部へ