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「相続不動産・不動産FPブログ」の記事一覧(16件)

【失敗例】未成年が相続人の時の不動産相続
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/04/09 00:00

マンションの売却相談を受けました。30代の女性からの依頼です。登山中の事故でご主人が若くして他界されました。マンションを処分して、実家に戻るという相談です。 ご相談者には小学生の男の子がいらっしゃいます。急な他界であったため遺言がありませんでしたので、法定相続人は、相談者の女性と小学生の男の子ということに民法により決まります。法定相続分は1/2づつですが、相談者の方はマンションの所有者は自分だけだと思って売却相談をされた様です。

通常、遺言がない場合、相談者1人を所有者として売却するには「遺産分割協議書」が整う事が必要ですが、未成年は遺産分割協議書に参加する事ができません。認知症の方と同じで契約行為をできない事になっています。通常の契約では親権者の同意があれば契約が成立しますが、この場合の相続では、マンションの所有者を母親だけにするという事を親権者が同意するという行為は、未成年の権利を奪う事になります。利益相反です。 遺産分割をする場合、親権者の同意ではなく「特別代理人」をたてることになっています。特別代理人は、家庭裁判所に遺産分割協議書案を提出して許可を得ることが必要となりますが、未成年者の権利を侵害する案の許可が下りることは難しいです。 これからの手続きの手間とコストを考えると、不憫でなりません。

妻に全ての財産を相続させる旨の自筆証書遺言でも有れば、相談者1人でさほど手間もかからず、預金も不動産も相続できた事例です。 年をとってからだけでなく、お子さんが小さいうちも保険の意味で「遺言」を残しておくとも大事です。遺言は、お子さんが大きくなった時に、何度でも作り直しができます。

贈与税の配偶者控除
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/04/02 00:00

 当社の相続セミナーに参加された方から、講義の中の「贈与税の配偶者控除」について詳しく教えてほしいということで、セミナー終了後に個別相談させて頂きました。 相談社の方は、70代男性で、奥さんと息子さんがいらっしゃいますが、再婚されており、前妻の間にも息子さんがいます。 この場合、法定相続人と相続分は、現在の奥さん(1/2)、息子さん(1/2)、前妻との息子さん(1/2)となります。遺言も無く、遺産分割協議も整わなければ、自宅は法定相続分通りに共有で登記する他ありません。民法でそう定められているからです。

 奥さんと前妻との息子さんが他人なので遺産分割協議が整うとは限りませんし、法定相続分を請求されて自宅を売却する可能性もあります。 ご相談者の方は「奥さんに必ず自宅を残したい」という思いが強く、セミナーの内容の中の「贈与税の配偶者控除」を利用して奥様に生前に自宅だけをまず贈与したいと相談を受けました。  「贈与税の配偶者控除」とは、婚姻期間が20年を超える夫婦間(事実婚はダメ)で自宅を贈与した時、暦年贈与の110万円に加えて最高2,000万円まで贈与しても非課税となります。現金を渡してマイホームを建築する事も適用になりますが、路線価と固定資産税評価で算出する不動産を贈与する方が多く贈与できます。 法定相続人に暦年贈与する場合無くなってから3年以内の贈与は税法上、相続財産に持ち戻されて計算されますが、「贈与税の配偶者控除」には、3年以内の贈与の持ち戻しの対象外になります。その点も相談者の方が気に入った理由の一つでした。

 しかし、デメリットもあります。 相続によって不動産を取得する場合取得税はかかりませんが、贈与だとかかります。登録免許税も上がります。相続の場合の税率0.4%に対して贈与の場合2%です。さらに贈与を受けた奥さんが先に亡くなると不動産登記の際の登録免許税と登記費用が無駄になってしまいます。 私は、遺言をお勧めしましたが、「まだ全ての財産に対して考えがまとまっていないので」ということです。 多少損をしてでも、奥さんが自宅を失わないために「贈与税の配偶者控除」を実行されます。

遺言では財産しか渡すことができませんが、贈与であれば感謝の気持ちも渡せます。奥さんにもきっとありがとうの気持ちが伝わると思いますし、円満な夫婦生活に繋がると思います。 相続の実務に携わっていますと、相続といえば節税とイメージする方が多いと思いますが、本当に大事なことは、いかに、もめさせないかという事が最優先だと、つくづく思います。

借地権の相続評価
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/03/23 00:00

借地権付建物の売却の依頼を受け、取引が完了しました。 物件の所有者は90代の男性、相談者は60代で所有者の娘さんでした。奥様もご健在で、もし仮に所有者が亡くなれば、奥様と娘さんの2人が法定相続人です。法定相続分は1/2づつですが、どちらもその物件を欲しいと思われてなく、むしろ要らないと言われていました。その物件だけを相続放棄することはできません。 借地権付建物の概要は次の通りです。

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◯築年数不詳(50年以上前の建築)約65㎡
◯借地権の契約書と賃貸契約書を紛失している
◯路線価150,000円、借地権割合60%  
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地主さんと、依頼者側の双方が代替わりしており、当時の契約内容をわかる人がいない状況でした。 借地権という権利は、地主の承諾が有れば売却することは可能です。この様な状況だと、購入する方を見つけるのは困難です。ですが、1人購入することでメリットがある人がいます。地主さんです。 交渉の最優先は地主さんに、借地権を「買ってもらう」底地を「売ってもらう」もしくは、一緒に売ることを打診することです。それが、ダメであれば、第三者への売却を検討しますが、この状況では買い手が付きません。 時間はかかりましたが、幸いにも100万円で地主さんに購入してもらうことになり、借地権付建物を処分する事ができました。

 
さて、この借地権付建物を相続(贈与)する時の税務上の評価はいくらくらいでしょうか?建物は古くてさほど評価はありません。土地は所有者ではないので評価されないのかというと、そうではありません。
路線価×㎡×借地権割合の約360万円が相続財産として計上されてしまいます。売却するだけで相続税がかかる方の場合、節税になります。  
正常な状況では、実際に売却するが金額は、相続評価よりも高くなっている事が多いのですが、稀に価値が逆転してしまってる不動産が見受けられます。例えば、借地権の他、「無道路地」「旧耐震の物件」「違法物件」「境界未確定物件」等々です。この様な物件は生前に問題を解決しておかないと相続税が高くなるだけでなく、もらった方も困ることになりかねません。一度、不動産のプロに見てもらうことをお勧めします。

生前贈与
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/03/12 00:00

 先日、当社で開催させて頂いた相続セミナーに来られたお客様から個別相談の依頼を受けました。70代の女性の方です。去年ご主人が他界され、やっと、相続手続きが終わり、落ち着いた様です。ただ、相続対策をされていなかったため、納税が大変で、10ヶ月の納税期限ギリギリに相続税を収めることができたそうです。
ご相談者には、息子さんとお嬢さんがいらっしゃいます。ご主人さんの時の教訓を生かして、余裕を持って相続対策をしたいというお考えをお持ちでした。 二時相続の時は、息子さんと、お嬢さんが法定相続人となります。そのお二人へ生前に資産を贈与して、節税対策することを決めておられました。現在は、時限立法ではありますが、贈与の特例が認められていて、大きな金額を非課税で贈与しやすい環境にありますので、贈与については大賛成です。

 まず、お嬢さんは結婚されており、不動産を所有されていないので、マンションの購入する時の資金を「住宅資金贈与の特例」を利用して1,200万円贈与されることを決めておられました。お嬢さんが贈与を受ける年の1月1日に20歳以上であれば、1,200万円の贈与受けてマンション(省エネ住宅)を購入しても非課税です。 贈与は公平・オープン・平等が原則です。息子さんにも毎年110万円の非課税枠を使って長期にわたって暦年贈与されるお考えでした。「毎年110万円を息子の通帳に振り込んでおけばいいのよね」とおっしゃいましたが、それは危険です。相続時に相続財産に持ち戻されて相続税を課税される可能性があります。

「贈与」とは、一方が無償で自己の財産を相手方に与える意思表示をし、相手方が受託することによって成立する「契約」です。贈与契約書が無いと贈与を否認されることがあります。さらに契約なので、認知症になってしまうと贈与できなくなります。法定後見人をたてて家庭裁判所の許可が出れば不動産売買契約はできますが、法定後見制度は本人の財産を守る制度のため、本人の資産が減る贈与契約はできません。長期にわたる贈与の計画では、認知症のリスクがあり、万が一の時には、贈与が平等になりません。   
そこで、「生命保険(終身)」を活用した贈与をご提案いたしました。お母さんが契約者と被保険者で、受取人が息子さん受取人で1,200万円の保険料を一括で支払います。契約後、契約者の名義を息子さんに変更します。その時点では息子さんは何もお金を受け取っていないので贈与税は発生しません。その後、毎年110万円以内でお金が必要な時に保険を部分解約すれば、贈与税がかからず解約金を受け取ることができます。部分解約が可能な保険を選ぶことを合わせてお伝えしました。

【失敗例】民事信託を活用した認知症対策
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/03/10 00:00

駅前テナントビルの大規模改修の相談を受けました。相談者は60代の女性で、母親が所有している築古のビルを予算3,000万円程でリフォームしたいという相談です。相談者には遠方に兄弟がいます。 しかし、話を聞いていくと相談者の母親は認知症です。認知症になってしまうと、その方の預金が下ろせなくなる他、不動産の売却や入居者との賃貸借契約が結べなくなります。同じく、建物の修繕の契約もできなくなってしまいます。

幸いなことに事前に遺言を作成されていました。もし、母親が亡くなって、遺産分割協議がまとまらなけば、テナントビルは兄弟で共有するしかありませんが、遺言が有れば、そのリスクは回避できます。 しかし、遺言の効力が発生するのは、作成した方が亡くなってからです。遺言が有ったとしても、認知症になってしまうと大規模修繕は難しくなります。建築会社と契約をするためには、法定成年後見制度を使うしか手が打てなくなりますが、財産がある程度の場合、法定成年後見を申し立てると、後見人に弁護士等の専門職が選ばれることが多いのが実情です。

専門職が選任されると、取り消しができない他、毎月の報酬が必要になり、その費用は母親がなくなるまで支払うことになりますので、数百万円の負担になります。 さらに、大規模改修については、母親(被後見人)のために必要な行為であるかということを家庭裁判所が判断しますが、認められないことも多いのです。 認知症になってしまってから亡くなるまで、テナントビルについては何も契約することができなくなる可能性が高いのです。相続対策は被後見人のためにする行為ではなく、相続人のためにする行為ですので家庭裁判所の許可が下りないことが多いので、収益不動産を所有されている時は特に、本人が元気な時に身内の方と民事信託を組んでおくことをお勧めします。  認知症が発生してからではできることが限られます。不動産が塩ずけになっている方が結構いらっしゃいます。

【失敗例】被相続人の居住用財産を売った時の特例について
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/02/25 00:00

相続不動産の売却相談を受けました。去年の年末に80代のお父様を亡くされました。
お母様は数年前に亡くなっています。亡くなった方を被相続人と言います。相続人は50代の男性とその妹の2人です。遺言は有りませんでしたが、遺産分割協議はまとまっており安心しました。 時限立法ではありますが、平成31年12月31日までに被相続人が住んでいた居住用家屋の敷地等を売る場合、一定の要件に当てはまると譲渡所得から最高で3,000万円を控除することができます。要件をまとめると以下の通りです。

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・売った人が、被相続人から、相続又は遺贈で取得する
・耐震工事又は、建物取り壊しをした後、売却する
・相続の開始から3年目の12月31日までに売却する
・売却代金が1億円以内 ・家屋が昭和56年5月31日以前に建築されている
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相談物件も不動産自体は要件を満たしていましたが、相続登記に問題が有りました。 建物はお父様単独の所有だったのですが、土地については当初、お母様と1/2の共有でした。お母様が亡くなった時に相続登記をしていなかったので、今回の相続でお母様から相談者へ相続登記をされておりました。相談を受けた時には不動産の相続登記を終えた後でした。
お母様から相続されている土地の1/2のについては3,000万円控除の特例の適用外になります。『遺言』で登記されていれば、登記をやり直すことができますが、『遺産分割協議書』により登記された場合、やり直しはできますが、もし、再度遺産分割協議で登記すると、贈与とみなされる可能性があります。民法は、キリがないので何度も遺産分割協議を認めないと言うことです。
特例を使う場合、お母様の持分を一度、亡くなったお父様に相続登記して史郎様から伸之様に相続登記すれば、土地全体を売った利益に対して3,000万円まで譲渡税が非課税で売却できました。亡くなった方への相続登記も可能です。 結果的に200万円以上の譲渡税がかかる計算になりました。 相続と不動産に詳しい司法書士先生であれば、気付かれたかもしれませんが、この場合、お母様から相談者へ相続登記している司法書士先生方が多いと思います。 相続登記をする前に相続と不動産に強い不動産業者へ相談してみてはいかがでしょうか。

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