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【失敗例】民事信託を活用した認知症対策
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/03/10 00:00

駅前テナントビルの大規模改修の相談を受けました。相談者は60代の女性で、母親が所有している築古のビルを予算3,000万円程でリフォームしたいという相談です。相談者には遠方に兄弟がいます。 しかし、話を聞いていくと相談者の母親は認知症です。認知症になってしまうと、その方の預金が下ろせなくなる他、不動産の売却や入居者との賃貸借契約が結べなくなります。同じく、建物の修繕の契約もできなくなってしまいます。

幸いなことに事前に遺言を作成されていました。もし、母親が亡くなって、遺産分割協議がまとまらなけば、テナントビルは兄弟で共有するしかありませんが、遺言が有れば、そのリスクは回避できます。 しかし、遺言の効力が発生するのは、作成した方が亡くなってからです。遺言が有ったとしても、認知症になってしまうと大規模修繕は難しくなります。建築会社と契約をするためには、法定成年後見制度を使うしか手が打てなくなりますが、財産がある程度の場合、法定成年後見を申し立てると、後見人に弁護士等の専門職が選ばれることが多いのが実情です。

専門職が選任されると、取り消しができない他、毎月の報酬が必要になり、その費用は母親がなくなるまで支払うことになりますので、数百万円の負担になります。 さらに、大規模改修については、母親(被後見人)のために必要な行為であるかということを家庭裁判所が判断しますが、認められないことも多いのです。 認知症になってしまってから亡くなるまで、テナントビルについては何も契約することができなくなる可能性が高いのです。相続対策は被後見人のためにする行為ではなく、相続人のためにする行為ですので家庭裁判所の許可が下りないことが多いので、収益不動産を所有されている時は特に、本人が元気な時に身内の方と民事信託を組んでおくことをお勧めします。  認知症が発生してからではできることが限られます。不動産が塩ずけになっている方が結構いらっしゃいます。

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