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贈与税の配偶者控除
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/04/02 00:00

 当社の相続セミナーに参加された方から、講義の中の「贈与税の配偶者控除」について詳しく教えてほしいということで、セミナー終了後に個別相談させて頂きました。 相談社の方は、70代男性で、奥さんと息子さんがいらっしゃいますが、再婚されており、前妻の間にも息子さんがいます。 この場合、法定相続人と相続分は、現在の奥さん(1/2)、息子さん(1/2)、前妻との息子さん(1/2)となります。遺言も無く、遺産分割協議も整わなければ、自宅は法定相続分通りに共有で登記する他ありません。民法でそう定められているからです。

 奥さんと前妻との息子さんが他人なので遺産分割協議が整うとは限りませんし、法定相続分を請求されて自宅を売却する可能性もあります。 ご相談者の方は「奥さんに必ず自宅を残したい」という思いが強く、セミナーの内容の中の「贈与税の配偶者控除」を利用して奥様に生前に自宅だけをまず贈与したいと相談を受けました。  「贈与税の配偶者控除」とは、婚姻期間が20年を超える夫婦間(事実婚はダメ)で自宅を贈与した時、暦年贈与の110万円に加えて最高2,000万円まで贈与しても非課税となります。現金を渡してマイホームを建築する事も適用になりますが、路線価と固定資産税評価で算出する不動産を贈与する方が多く贈与できます。 法定相続人に暦年贈与する場合無くなってから3年以内の贈与は税法上、相続財産に持ち戻されて計算されますが、「贈与税の配偶者控除」には、3年以内の贈与の持ち戻しの対象外になります。その点も相談者の方が気に入った理由の一つでした。

 しかし、デメリットもあります。 相続によって不動産を取得する場合取得税はかかりませんが、贈与だとかかります。登録免許税も上がります。相続の場合の税率0.4%に対して贈与の場合2%です。さらに贈与を受けた奥さんが先に亡くなると不動産登記の際の登録免許税と登記費用が無駄になってしまいます。 私は、遺言をお勧めしましたが、「まだ全ての財産に対して考えがまとまっていないので」ということです。 多少損をしてでも、奥さんが自宅を失わないために「贈与税の配偶者控除」を実行されます。

遺言では財産しか渡すことができませんが、贈与であれば感謝の気持ちも渡せます。奥さんにもきっとありがとうの気持ちが伝わると思いますし、円満な夫婦生活に繋がると思います。 相続の実務に携わっていますと、相続といえば節税とイメージする方が多いと思いますが、本当に大事なことは、いかに、もめさせないかという事が最優先だと、つくづく思います。

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