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物納について
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2019/09/23 00:00

国税は、金銭で納付することが原則ですが、相続税については、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。(※出典国税庁ホームページ) しかし、国税庁の「統計年報書」をみると、平成28年の物納の申請件数は140件ほどと非常に少ない状況です。あくまでも申請件数ですので、実際に物納できた件数は更に少ないと予想できます。

要件を満たしている場合に物納の許可を受けることができますが、要件が厳しいため申請件数が少ないと考えます。

【物納の要件】
(1) 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
(2) 物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位で、その所在が日本国内にあること。 第1順位 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等※1 第2順位 非上場株式等 第3順位 動産
(3) 物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと。 物納劣後財産に該当する場合であっても、これを物納劣後財産に該当しないものとみなします。
(4) 物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること。 (※出所:国税庁ホームページ)

不動産について物納できない物件の例を挙げると
⓵担保権が設定されている
⓶境界が明らかでない土地
⓷他の土地に囲まれて行動に通じない土地で通行権の内容が明確でないもの
⓸借地権の目的となっている土地で借地権を有する者が不明であること等
⓹他の不動産と社会通念上一体として利用されている不動産もしくは利用されるべき不動産又は二以上の者の共有に属する不動産 ⓺敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産

次に、他に物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り物納に充てることができる例を挙げると ⓵法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地 ⓶劇場、工場、浴場その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地 ⓷建築基準法第43条第1項に規定する道路に2メートル以上接していない土地 ⓸過去に生じた事件又は事故その他の事情により、正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれらに隣接する不動産

等々です。

 通常、相続税評価された不動産よりは、市場で売却した価格の方が高い金額になるため、納税期限までに売却できるのであれば、何ら問題ありません。
10ヶ月以内に相続税を現金納付するために、流動性に欠ける不動産であれば、時間に焦りますし、売却が難しい物件は売却するまでに何年もかかってしまう場合も有ります。

 何年もかかりそうな物件と自分で判断するのであれば、物納すると決めて要件を満たすため必要な手続きを進めていくことが必要です。要件さえ満たしておけば引き取ってもらえます。  良い不動産から物納するという要件は有りませんので、物納が認められそうな物件から物納するのではなく、自分に必要のない不動産から物納することをお勧めしています。

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