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個人で不動産賃貸業を営む方にお勧め!小規模企業共済制度
カテゴリ:相続不動産・不動産FPブログ  / 投稿日付:2020/10/09 00:00

アパート経営での所得税と相続税を節税できる「小規模企業共済制度」をご存じですか。まず概要について、ご説明したいと思います。

■小規模企業共済制度とは

小規模企業共済法に基づいて、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している制度です。小規模な個人事業主や法人の役員等が、退職した場合や事業を廃止した場合に、それまでの積み立ての掛金に応じた共済金を生活資金として受け取ることができる共済制度です。

■個人で不動産賃貸業を営む方でも加入が可能!

まず、サラリーマン(給与所得)の方は加入資格がないため、個人事業主として不動産業を副業として営んでいても加入できませんのでご注意ください。

不動産賃貸業の個人事業主は、『事業的規模(510室)であること』や、『65万円の青色申告特別控除の適用を認められていること』等の要件をクリアすれば加入することができます。

■小規模企業共済の節税メリット

この制度の魅力は、所得税と相続税の両方の節税が可能だということです。

①所得税の節税効果

掛金の全額が所得控除の対象となります。掛金は月額1,000円から7万円の範囲(500円刻み)で自由に設定でき、最大月額7万円の場合は、年間84万円の所得控除が受けられることになります。

不動産賃貸業で得た家賃収入を銀行に預けていても利息はしれていますが、小規模企業共済の掛金にすることで別表のように節税効果が得られます。

②相続税の節税効果

共済契約者が亡くなった場合に遺族が共済金を受け取る場合、相続税法上は、みなし相続財産(死亡退職金)として相続税の対象となり、死亡退職金の(500万円×法定相続人の数)非課税枠を使うことができます。

■生命保険金にも非課税枠

生命保険金は被相続人が亡くなった時、民法上は相続財産の対象外となり、原則、遺産分割が不要な受取人固有の財産という扱いになります。一方、相続税法上では生命保険金を相続財産とみなし、相続税を課税します。生命保険金や死亡退職金のように相続財産とみなして相続税を課税する相続財産をみなし相続財産と言います。

生命保険の受取人が被相続人の死亡によって取得した生命保険金で、その保険料を被相続人自身が負担していた場合、相続税が課税されますが、生命保険金には相続税の『500万円×法定相続人の数』という非課税枠があります。仮に法定相続人が4人の場合、500万円×4人で生命保険金等の非課税枠は2,000万円となります。

家賃収入を預金通帳に入れておくと、全額が相続税評価の対象となりますが、生命保険会社に預けることによって、非課税で受け取れる枠があるということです。

■暦年贈与は受贈者1人当たり110万円が非課税

みなし相続財産以外に、暦年贈与にも非課税枠があります。暦年贈与とは、暦年11日~1231日に贈与し、その贈与額が年間110万円以下であれば、贈与税がかからない制度のことです。非課税枠は贈与を受ける側を基準として計算するため、例えば子どもが2人いる場合、220万円を非課税で贈与すことができます。

■保険料贈与プラン

生命保険を使った相続対策でよく使われているのが『保険料贈与プラン』です。子どもや孫に現金を贈与して、それを保険料として保険に加入する方法です。

父親が子どもに現金を贈与し、それを保険料にして保険に加入する。被保険者は父親、契約者は子ども、保険金の受取人は子どもに設定することにより、保険金は相続税の対象ではなく、子ども自身の一時所得として、所得税の対象となります。

一時所得では、受け取った保険金から支払った保険料を差し引き、さらに50万円の特別控除を差し引いた金額の2分の1が対象となるという効果があります。

※保険料贈与プランを利用する場合には、税務当局に否認されないため、確実な贈与を行う必要があります。

保険料贈与プランには、生前贈与を行う場合、親としては子どもが大金を手にして、納税資金や代償交付金等の相続対策として渡すのですが、子供が自由に使える状態になるため無駄遣いをしないか心配です。贈与した資金が確実に保険料として相続対策に利用されることがわかれば、安心して贈与をすることができると思います。

 

以上『死亡退職金』『生命保険』『暦年贈与』の非課税額を最大限に利用することによって家賃収入により現金資産が増えて、結果、相続税も増えてしまうことを回避できるのです。家賃収入で受け取った現金の預け先を工夫ることで、『節税対策』『納税対策』『遺産分割対策』を長期的に計画することができます。

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